題名・著者はTo Find Happiness, Forget About Passion by Oliver Segovia
以下本文です。
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「幸せになるために、夢をあきらめる」
数年前のこと、自分の夢をもとに進路を決めた友人がいました。彼女はリベラルアーツと学問を愛し、才能あるグラフィックデザイナー、優れた作家であると共に、学生会の代表でもありました。
しかし彼女にとって、会社仕事を通して見込める展望に魅力を感じることはありませんでした。
この選択について私は彼女を責めることはできません。結局、私たちの世代は夢を追い求めるようにできているのです。
この選択について私は彼女を責めることはできません。結局、私たちの世代は夢を追い求めるようにできているのです。
彼女は7年かけて博士号を取り、受賞されるほどの修士論文も発表しました。それは彼女にとって充実した時間であり、その頃の彼女は私が知っている中でも一番幸せな人でした。
その後不況が訪れ、大学で得られる価値が大きく失われました。それに伴い、教職や研究職の採用は滞りました。彼女は実家に戻り、奨学金の返済休止を余議なくされただけではなく、小さな研究施設で二流の仕事を得るまで2年も待たなければいけませんでした。その間、彼女は先の見えない将来に苦しみ、友人との連絡も減り、何かに裏切られたような感覚を持つことになったのです。
この話は、私たちの時代を象徴する話と言えます。
彼女ように、夢(情熱)を追い求めることには価値があるのでしょうか?
私も含めて、今日の若者は夢を見つけて追い求めろと言われて育ちます。しかし時代は変わってしまったのです。仕事がない世代が成人したとき、社会の大きな裏切りに気づく。
この「夢を追い求める哲学」は、もう私たちの時代には合っていないか、少なくとも不完全なのです。
この「夢を追い求める哲学」は、もう私たちの時代には合っていないか、少なくとも不完全なのです。
じゃあどうすればいいのでしょうか?
私はこれまでとは違う枠組みの提案をしたいと思います。それは、「大きな夢を探すのをやめて、大きな問題を探す」ということです。
私はこれまでとは違う枠組みの提案をしたいと思います。それは、「大きな夢を探すのをやめて、大きな問題を探す」ということです。
私たちの意思決定プロセスにおいて「問題意識」を取り入れることによって、すべてが変わります。自分がどうなのかということではなく、自分は何ができるか、どう貢献できるかということなのです。最も大きな問題に関わっている人たちは、最も多くの報酬を得ることができます。
それは、金銭面においてという意味だけではなく、深い人間的な面で、という意味です。「問題意識」を持つことによって自分から他人、そして広い世界へ意識を向けることができるようになります。何か一つのことに固執してしまったり、自己中心的になったりすることを防いでくれます。皮肉なのですが、「幸せになろうとして悩むのをやめれば、もっと幸せになれるのです。」
幸いにも、世界には大きな問題がたくさんあります。気候変動、サステナビリティ(持続可能性に関する問題)、貧困、教育、医療、技術、急激な都市化etc... どの問題があなたを突き動かしますか?もしあなたがまだ若く、ここを明確にしていないなら、いくつか方法があります。
1.状況を把握する
私たちは「自分を知ること」に集中し過ぎてしまいがちですが、「世界を知ること」にもっと集中しましょう。関心を持ち、恵まれない人々や社会的弱者たちが抱える問題に敏感になりましょう。オフィスから出てボランティアをするのです。学生なら教室から抜け出しましょう。ずいぶん長い時間がかかりましたが、ビジネススクールは現実の世界をテーマにした授業を行おうとしています。
2.「他人事とは思えない問題」を見つけて、調べてみる
自分にとって身近な問題に対しては、誰でも強い動機を持って取り組めます。私の著書「Passion & Purpose」で紹介したメンディロさんは、紛争状態のパキスタンから命からがら脱出した経験が、のちに立ち上げた活動 thedreamfly.org(紛争地域のコミュニティーを繋げる活動)の動機になったと語っています。
3.大きな問題に取り組んでいる人と関わってみる
世界には学際的な解決策を必要とする問題がほとんどなため、ある1つの問題に取り組んでいる人と関わることは他の多くの問題を解決するヒントになります。Jaime Augusto Zobel de Ayalaがマニラの水道システム改善に取り組んだとき、当初予想された問題だけでなく、気候変動や技術的問題、地域開発に関連した問題にも取り組むことになりました。
4.休みを取って旅行してみる
旅行者としての旅行ではなく、普通とは違った旅行をしてみましょう。誰も思い付かなかったような場所に行くのです。バックパッカーとして出かけて、旅先で迷子になってみるといい。スティーブジョブスは自身がインドで過ごした日々を、「人生で最も豊かで、心が解放された経験」と表現しています。この経験が「テクノロジーの力で人々の生活をシンプルにする」という彼の哲学に影響を与えたことは間違いないでしょう。
私たちは幸福の中に幸福を見つけることはできません。外に出て、世界に浸る。そこで遭遇する不可避の状況によって、人生における高度な目的を見つけるヒントが得られるのです。日々の奮闘が私たちを定義し、最高のものを引き出してくれます。このプロセスこそが、たとえ困難な時にも継続的に満足感を得られる土台となるのです。
幸福は、「あなたが好きでたまらないこと、あなたが得意なこと、そして世界が必要とすること」が交差する場所にあります。私たちは長い間、「何が好きなのか」と聞かれ、考える時間がありました。学校に行けば、自分は何が得意かわかります。今、もう一歩先(世界が必要とすること)を考える時です。
あなたはどんな問題を解決したいですか?
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翻訳後記
世界的な不況を背景に、これまで理想とされてきた「自分が好きなことを追い求める人生」が世界中の先進国で崩壊しつつあるのではないか、という指摘には強い印象を持ちました。この著者が考える解決策は、何が好きか、何が得意かといった私たち自身を見つめることではなく、世界が何を必要としているか、という外向きの考え方をすることです。
確かに日本でも、何がやりたいか、何が得意か、という自分探しばかりに時間を費やして実際のニーズにまで目がいかない人は多いと思います。
これは僕自身も同じです。それは悪いことではないと思うけど、確かに世の中は問題であふれている、という現実はあると思います。
この考え方はイケダハヤトさんの「水で満たされたバケツと働きがい」と似た考え方かもしれません。
意見や、指摘などあればメッセージお願いします。
さ、バックパックを持って海外旅行でも行こうかな~
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はじめまして、知り合いのfacebookにリンクが張られており偶然こちらにたどり着きました。僕も考えること、人と会うことが大好きな理工系エンジニア(の卵、学生)です。
返信削除幸せってなんだろう、この世界ってなんだろうということを漠然と考える日々が留学やバックパックを経験してから続いております。それはきっと答えのないことだと思うのですが。
同じようなバックグラウンドをTakutoさんもお持ちで、様々な考え方を発信していらっしゃるので、これからもちょこちょこ、考えて少しでも答えを見つける種を探しに、お邪魔させていただきます。
Ryunosuke
Ryunosukeさん、コメントありがとうございます!
返信削除かなり前に訳した記事で、今読んでみると見苦しい訳もたくさんあるのですが、読んでくださりうれしいです。
そうですね。僕もよく考えているのですが、今のところこの記事が一番答えに近いと感じています。
今のところは仕事を通して幸せを感じる人生にしたいと思っているので、翻訳の仕事が重要な位置にいるのですが、翻訳以外にも好きな仕事はまだありそうだなと思っています。
この記事にもありますが、「幸せについて考えるのを止めれば幸せになれる」とあり、これは深いなーと感じます。実際、忙しかったらそんなこと考える暇もないわけで、実際「忙しい=充実している=幸せ」という図式も成り立つような気がしています。(少なくとも「暇=つまらない」という図式は正しいように思います)
このブログのサイド部分でも紹介していますが、幸せについて深く考えたいなら目崎雅昭という人が書いた「幸福途上国ニッポン」という本がオススメです。僕はこの本を熱中して読みすぎて終電を逃したくらいです。
最近は翻訳の仕事が忙しくてあまりブログが書けていませんが、できるだけ書いていこうと思っています。ぜひまたよろしくお願いします。
Shima