インターネットがこれだけ発達した時代なんだから、ネットを使ってお金を稼ぐ方法くらいあるはず!・・・なんて考えたことはないでしょうか?僕はよくあります。今回紹介する記事では、「誰でも個人名を使ってお金稼ぎができる社会」についておもしろいアイデアが紹介されています。
まずはっきりさせておくと、「個人名を使ったお金稼ぎ」とはつまり「自分を売りに出す」ということです。例えば、音楽家やデザイナーなど、アーティストと呼ばれる人たちは自分の名前で仕事をしています。コブクロのCDがどのレコード会社から販売されていても、ファンはコブクロだからCDを買いますよね。
お客さんを自分のものにするメリットとして、会社が倒産してもお客さんをキープできます。
例えば僕の友人でデザイナーをしている人がいるのですが、彼の上司(デザイナー)がその会社を辞めて転職するとき、お客さんも一緒に転職先に持っていってしまったため売り上げが激減し、会社が潰れそうになったことがあるそうです。
お客さんからすれば、今まで仕事を任せてきた信頼できるデザイナーなのでそう簡単に代わりが見つかるものでもないということでしょう。このように、自分に付いてきてくれるお客さんがいれば、会社がどうなっても収入を確保する状態をキープできるわけですね。
さて、これは別にデザイナーに限ったことではなく、一般の人でもできることです。
例えば、ギターが得意で初心者くらいになら教えられる、としましょう。どうやって生徒(お客さん)を探そうかと思ったなら、SkillShare, Pal Localeのようなスタートアップが提供しているオンラインサービスが役に立つかもしれません。
SkillShare―誰でも先生になれる
SkillShareはコミュニティー型の先生(講座)探しサービスです。自分が住んでいる街で、自分が学びたいスキルを教えられる人を探して、オフライン環境で教えてもらうことができます。週末にギターを教えてお金を稼ぎたいなら、そのサイトにプロフィールと教えられるスキルを登録すればOK。あとは生徒が集まるのを待ちましょう。
現在生徒募集中の講座は「5000ドルあればできる、スタートアップ立ち上げのアイデアを思いつく方法」、「どんなカメラでも良い写真を撮る方法(ケータイでも)」、「絵画入門1:油絵のテクニック」など。他にもファッション、スポーツ、健康など様々なトピックをカバーしています。
SkillShareが目指すのは、誰もが教え合う「学びの革命」を導く企業になることで、お金を稼いで成功するには大学を出ないといけないというアメリカ社会の常識を崩すことにあります。
Pal Locale―オールラウンドに個人を共有
Pal Localeは「どんな友達も借りてしまおう!」がコンセプトの有料友達貸し出しサービス。まだローンチされてないですが、基本的に自分が他人にできることならなんでも提案できるので、頼む人がお金を払っていいと思えることなら何をしてもOK。
普段気にも留めなかった街を誰かに案内してもらったり、誰かに新しいスキルを教えてもらったり、誰かのおまかせでナイトスポットに連れて行ってもらったり、なんてこともできます。
My Guidie―ツアーガイドを身近にする
MyGuidieは旅行者に地元を案内してお金を稼げるというサービス。ポーランドのスタートアップが始めたサービスで、プロかアマチュア旅行ガイドとして自分が詳しい都市を案内することになります。利用者は旅行先の土地をガイドしてくれる人をオンラインで探し、気に入ったガイドを選ぶことができるし、逆に案内人になりたければオンライン上にプロフィールを載せて、お客さんを待つことになります。案内して報酬を受け取った後、お客さんは満足度を考慮して案内人を評価することになるので、高評価を集めればお客さんからの依頼が途切れることはないでしょう。
TaskRabbit―雑用仕事マーケット
TaskRabbitは雑用仕事をやってくれる人をツイッター的に募集するサービスです。
どんな雑用をいつまでにやってほしいかを投稿し、やってもいいよと言ってくれる人にお金を支払います。
現在募集中の仕事は「棚の取り付け」「掃除」など、つまらなそうな仕事ばかりですが、オンラインで仕事を頼んだり頼まれたりできるという点で、これぞ21世紀の仕事マーケットと言えます。
TaskRabbitsで仕事をやってくれる人は、仕事をリタイアした人でスキルはあるけれど家で時間を持て余している人、専業主婦(主夫)で家計に少しでも貢献したいけど時間的な自由はほしい人、景気が悪いときにちょっとしたお小遣い稼ぎがしたいパートタイム従業員(フルタイム従業員)など。逆に仕事を投稿する人は、忙しいビジネスパーソンや、雑務処理に人手がほしい個人事業主などです。
このサービスは現在アメリカのボストン、サンフランシスコベイエリア、ニューヨーク市、ロサンジェルス、オレンジカウンティーで運営中で、専用のiphoneアプリからもアクセスできます。
さて、上に4つのサービスを紹介しましたが、
このようなサービスを提供するビジネスは実際どのくらい有望なのでしょうか?
このような「個人のスキルを他人に提供するマーケット」を作り出した企業として、「AirBnB」や「Couchsurfing」などがあります。この手の「短期宿泊先レンタルサービス」が近年盛り上がっているところを見ると、「個人の宿泊先レンタル」から「個人スキルのレンタル」という発想に繋がったのは自然なことかもしれません。
今のような景気であればなおさら、このような「個人が個人にスキルを売るプラットフォーム」を作る意義は大きいでしょう。
古株のebayやCraigslistのようなサービスを引き合いに出すまでもなく、「AirBnB」や「Couchsurfing」の人気ぶりは「マーケットとしてのインターネット」の存在感を示しています。そして、ネットは「個人が個人にスキルを売る」のに最適(不可欠)な場所と言えるでしょう。
ジャーナリストのJeff Jarvisは自身のブログで「仕事のない未来」という記事を書いています。
彼は、テクノロジーの発展が(効率化により)多くの仕事を奪っているとし、それに置き代わる新しい仕事も生み出されていないと述べています。
アメリカの経済が落ち込んでいるのは、テクノロジーが成長を超える速度で発展しているからだ。
例えば新聞業界では近年何千ものジャーナリスト職が失われたが、経済が回復してもその仕事が戻ってくることはないだろう。
新しい仕事は起業家によって作られる。(だから私は起業ジャーナリズムを教えている)
しかし、これから新しい企業が生まれても、以前より多くのジャーナリストを雇うことはないだろう。
報道するニュースはこれまで通り存在し続けるが、インターネットのおかげで労働生産性が上がってしまったからだ。
小売り業界ではどうか。(アメリカの小売りチェーンの)Borders. Circuit City. Sharper Image. KB Toys. CompUSAを見てほしい。
どの街のメインストリートにもどのモールにも、お客が来ないような店舗は必ずある。
「短時間で物欲を満たすために近所で買い物するような行為」はこれから贅沢なサービスだと認識されるようになるだろう。
なぜなら、離れた場所で経営資源を集中し大規模にビジネスを展開するほうが遥かに効率的だからだ。
小売業界を破壊しているのはウォールマートではなくアマゾンだ。
アマゾンがやっているようなオンライン上の透明な価格設定は、全体的な価格を下げ、多くの企業が受け取る利益を減少させるだろう。小売業界は今よりさらに効率的になっていく。
現在私たちは、大規模なビジネスをするのに今までほど多くの労働者を必要としません。
でも、もし仕事がなくなったらお金も使えなくなるし、私たちはどうなってしまうのでしょうか?経済はどうなってしまうのでしょうか?
上に紹介したように、「個人が個人にスキルを売るマーケット」はこの問題の一つの解決策になるでしょう。個人が個人から直接お金を稼ぐことができるからです。確かに、これらのサービスで稼げるお金はせいぜい軽い副収入程度でしょう。(実際、このサービスだけで食べていける保証はどこにもない) ただ、今よりずっと多くの人が自分のスキルを売り出してお金を稼がないとどうにもならなくなる社会が来るとすれば、これらのビジネスは間違いなく時代を先取りしていると言えるでしょう。
これから経済がどうなるのかはわかりませんが、個人が個人からお金を稼ぐ流れはこれからも大きな意味を持つと予想されます。(それ以外の選択肢がない状況にあるとも言えます)
しかし、個人から直接提供されるサービスにお金を払ってもいいと思える人なんて実際多くいるのでしょうか?
SkillShareやTaskRabbitの今後に注目しましょう。
- この記事はTheNextWebというメディアの下の記事を翻訳し、個人的な経験も含めて加筆したものです。
元記事リンク↓
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