2011年12月3日土曜日
通訳・翻訳という仕事を通して気づいたこと
ここ数カ月の間、仕事で通訳・翻訳・海外出張する機会が増えてきました。
これまでしてきた英語の勉強・留学で得た経験がやっとアウトプットできているように思います。
この外国関係の仕事はいろんな意味で、僕がこれまでしてきた仕事と違うと感じています。
その特徴についてまとめてみたいと思います。
1.非常に頭を使う仕事だということ
通訳の仕事をしてみて初めて「頭がフル回転する感覚」を味わえたと思います。
通訳は常に時間との勝負です。相手が言ったことを素早く理解して、
もう一方の言葉に変換して、なるべく自然に分かりやすい形で伝える。
これをその場で瞬時にやります。
さらに厄介なのは、その会話を正確に暗記しないといけないということ。
英語力がいくらあっても、会話を記憶できなければ全く意味がありません。
この時ほど自分の記憶力を試されている時はありませんでした。
(素早くメモするスキルは必須です)
2.クリエイティブな仕事だということ
英語と日本語のどちらに訳すにしても、訳し方ひとつでまったく感じが違ってきます。
直訳して堅い感じに訳すこともできるし、機械的に訳すこともできます。
少し時間と手間はかかるけど、意訳してより自然に聞こえるように訳すこともできます。
これは本当に翻訳する人次第。
「プログラミングのプの字も知らない」といった日本語特有の言い回しをどう英語に訳すか。
ある英文を、日本人の頭にスゥーッと入ってくるような日本語に訳せたとき、
世界が少し整理されたような清々しさを感じることができます。
3.普段会わない人・関わらない人と話しているという特別感
外国人のお客様と話していて思うのは、
程度の差はあれ、「デフォルトで特別待遇になっている」ということです。
国内のお客様と話すときと海外のお客様と話すときで、
自分の態度って若干変わりませんか?
これは、頻繁に外国のお客さんとやり取りしている人にとっては
もう普通になっていて何も特別に感じないかもしれないのですが、
あまり外国人と関わりがない一般的な日本人であれば、
「外国人は特別」という感覚を持っていると思います。
人によるとは思いますが、僕はここに奇跡的なものを感じます。
この仕事をしていなければ、こうしてこの外国人と話すことは一生なかっただろうし、
英語を勉強していなければ、ジョークを飛ばして笑うこともなかったと思います。
今でこそグローバル化で多くの人は国境を昔ほど意識することはなくなったけど、
一世代前に生まれていたら、外国に旅行すること自体珍しいことだったのです。
僕はそこに小さな奇跡を感じるから、ちょっと親切にしようとか、楽しませようとか、
できるだけ期待に応えよう、といった行動に繋がっていると思います。
4.文化・習慣の多様性に気づくことができる
一度、ドイツ人のお客様が会社に来られて一日中打ち合わせをしたことがありました。
僕はそこで、初めて会議通訳をすることになったのですが、
その頃は専門用語とかがサッパリわからず、分かりにくい訳をしてしまったり、
何度も聞き返してしまうことがありました。
それなのに、そのお客様は全く不満な表情を見せることはありませんでした。
仮にその人が日本人の顧客だったら、
「こいつ話が分からないな!」とか「こいつ頭悪いのか!?」
という態度を取られても全く不思議じゃなかったと思います。
(それくらい僕の通訳はひどい出来だった)
じゃあなんでそのお客様は顔色一つ変えずにいられたのか。
ドイツ人が特別怒りにくい人たちというわけではないだろうし、
その人が異常に忍耐強かったわけでもないと思います。
僕がその人から感じ取ったメッセージは、
「(外国人同士で話しているんだから)言いたいことが伝わらなくて当然」という、
一種のあきらめです。
でもそれはネガティブな意味ではなく、
「デフォルトで分かり合えないのだから、とことん分かるまで話し合おう!」という
ポジティブな姿勢なのです。当時の僕はこのメッセージにひどく感動しました。
そして同時に、日本人はデフォルトで分かり合えてしまう国民であるがために、
分かりあえないときにイライラしてしまうのかもしれない、と思いました。
「日本人であればほぼ無条件で話が通じる」というのは、かなり恵まれていることなのです。
まだまだあるかもしれないのですが、とりあえずここまでにします。
やっぱり外国と外国語と外国人ってハンパなくおもしろいです。
またあれば、追記していこうと思います。
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