ウチの会社では「5S活動」のような社内活動があります。
製造工程の自主的改善活動のようなものなのですが、
製造工程だけじゃなく、関連部署のオフィスもその対象になります。
つまり、職場を改善していくことで日々の業務を速く、効率よく、使いやすくして
生産効率も上げていく活動のことです。
具体的には、整理・整頓、部屋のレイアウト変更などです。
そこで、なぜそのような活動をするのか、という説明とともに、
ある会社で起こったエピソードを聞きました。
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その会社では取引を控えたお客様がいて、量産間近になって工場の監査(視察)に
来られることになりました。
もちろんその会社にとっては一大事のことなので工場の整備や、関連書類の最終確認、
作業者の行動まで、一通りチェックをしました。
しかし、
(もう分かり切っているかもしれませんが)
ひとつだけ、抜けていたことがありました。
それは社内の清掃です。
事実、その会社の玄関にゴミが一つ落ちていました。
結局、そのゴミに気付いたのは、監査にやってきたお客様でした。
そのお客様は、こう言ったらしい。
「会社の玄関すら掃除ができない会社にウチの製品は任せられない」
結局、その会社は取引停止になったそうです。
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「こんな会社もあるから整理整頓をしっかりやりましょう」
ということが伝えたかったんだと思いますが、
そんなお客さんの会社と、むしろ取引して大丈夫なのか?、と思います。
木を見て森を見ず、と言いますが、この会社がやっていることはまさにこれ。
そこには
「玄関にゴミが落ちているような会社は、工場内でもテキトーに仕事をしているに違いない」
というかなり危険な推測があります。
つまり、(当然ですが)玄関に落ちているゴミの有無で、
その会社の質を決めることには無理がある。
僕は、日本人にはこういう推測をする人がとても多い、という印象を持っています。
例えば、マナーの悪い中国人を1人見たら、中国人=マナーが悪い、
という方程式が出来上がります。
もちろん、これは日本人に限ったことじゃなく、人間ならみんなすることです。
人種差別の本質はそこだし、だからなくならない。Rf. 経済学101,「ミニスカとシグナリング」
それでも、特に日本人がこういう推測をしやすい理由は、
日本人はこういう人たちだ、という一般的な認識が強く共有されているからです。
つまり、日本全国どこに行っても日本語が通じるのと同じで、
日本人なんだからある程度話せば誰でも分かり合える、とみんな思っています。
でも、アメリカに行くと、いろんな種類の人が居て、まず言葉は通じない人がいるし
文化も習慣も違うし、別に関わり合ってないし、超大富豪もいれば貧困で死んじゃう
人もリアルにいるし(生活保護がどう、っていう問題の前に!)
ノーベル賞を取っちゃう天才もいれば、世界最悪の連続殺人鬼もいるし、
ヌーディストがいれば、ゲイもレズビアンもいるし・・・
つまり、「アメリカ人」なんていうものはなく、
全く違う世界の住人がごちゃ混ぜになっているんです。
そこに、「アメリカ人だったら分かり合えるはず」、みたいな感覚は微塵もない。
「分かり合えないのが前提の社会」と言えるかもしれない。
だからアメリカの説明書は厚い・・・
だからアメリカの説明書は厚い・・・
日本も、多かれ少なかれ、そんな社会に近づいているように思います。
雇用と言えば正社員だけのものじゃなく、非正規も、フリーターもニートもいる。
IT長者もいれば、ワーキングプアの人もいる。
以前では考えられなかったような犯罪や事件も聞くようになったし、
国際結婚する人も増えている。
結婚と言えば、一生独身の道を選ぶ若者も増えていると聞きました。
これだけ、日本社会にいる人たちが多様化する中で、「日本人ってこういう人達」、
という今まであった認識が、どんどん当てはまらなくなってきています。
そういう社会になっても、「日本人ってこういう人達」という認識で物事を見たり、
決めていては、本当に正しい決断をすることは難しくなってしまいます。
さっきのエピソードで言えば、その会社の玄関にゴミが落ちていたとしても、
超儲かっている会社・信頼に値する会社なのかもしれないんです。
もし、外国人に「日本人ってどういう人?」って聞かれたらこう答えましょう。
It depends! (人によるからわかんない!)
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