2011年4月16日土曜日

どんな仕事をするときにも言える、データ主義の"弱点"



<データ主義とは>

どんな仕事をするにもデータを求められることは多いと思います。

数字で説明すると説得力が上がる。
裏付けを取れ。
仕事を科学しろ。

こんなことを聞いたり、言われたことは誰でもあるはず。

私はこう思う、という「主観性」ではなく、
データが何を表しているか、という「客観性」が重要なのです。

<データ主義のメリット>
このようなデータ主義の考え方のメリットは
曖昧さや、根拠のない主張をなくすことができることです。

例えば、MyNewsJapanの渡邉正裕氏は著書の中で、
花王には徹底したデータ主義のカルチャーがあると述べています。

花王は、独自の組織力とデータ主義のカルチャーが強みになっている。社外秘とされる、花王専属の「消費生活研究所」(SSKと呼ぶ)を傘下に持ち、消費者の声を収集・分析する「エコーシステム」というデータベースを持つ。
花王では「私はこう思います」は通らない。根拠となる、何がしかの数字を用意しなければいけない。「SSKでの調査をもとに、改良を重ねる。他社は1人で数アイテムを見るが、ウチは大人数を投入し、効果を証明し、消費者に実効のあるものを発売する」(研究開発職社員)。ヒット商品となったヘルシアやエコナ、バブが、その典型だった。
すごいな、と思うかもしれないが、
よく考えてみれば、
これは学問の世界をそのまま延長しただけなのです。

<アカデミックな世界との比較>
アカデミックな世界は完全なデータ主義で、
何を主張するにも裏付けとデータが必要です。
実際、データ主義がない論文なんて存在しない。
大学で論文を書くときに、「情報のソースをしっかり記載するように」
と何度も教授に言われるのはこのためです。

ただ、完璧に見える「データ主義」にも弱点があります。
「時間」です。
ほとんどの場合、データを集めるにはものすごい時間がかかります。
考えとか主張は、慣れてくるとすぐに浮かぶものだけど、
その裏付けとしてデータを取るのに、かなり時間がかかる。

学問の世界はビジネスの世界と違って時間にあまり制約がありません。
暇そうな教授は暇そうだし、
自由な時間が多いのはやっぱり大学教授の特徴&魅力でもあります。
学問では、時間はかかっても真理を見つけることに価値があるのであって、
どれだけ短い時間で大きな成果を上げるか、
という効率の部分はあまり重要視されない。

<効率も重要なビジネス>
でもビジネスの世界は時間がとても大事です。
メーカーなんて常に納期に追われているし、
問題が起こればできるだけ早く対応しないといけない。
ここでもデータ主義の考え方は重要ではあります。
でも、説得する相手は学会の「教授たち」じゃなくて、
「お客さん」であるという点が重要。

つまり、データ主義に基づいた主張じゃなくても、
お客さんが納得すればそれでいいのです。

<データ主義は初心者が使う手>
例えば僕の上司は、
お客さんにまずい説明をしないといけないとき、
「データで説明しないといけないのはあくまでB案で
まずA案として、
お客さんを納得させるところに重点を持っていく」そうだ。

つまり、
データが必要なのは「データがないと説得力がないとき」だけ。
それはデータに頼っているわけで、
自分の頭で考えて説得力が出せないから。
だからそれは初心者が使う手、という論理だ。

考え方としては「言葉で言いくるめる」感があり、
あまりいいイメージではないと思うかもしれません。
でも逆に、
そんなことができるほど客先の信用を得ているかもしれないし、
話術が巧みなのかもしれないし、
うまい表現ができているのかもしれない。

データは確かに重要だけど、
スピードが落ちるようではビジネスではあまり好ましくない。
スピードと説得力の両方を出すためには、
データ主義にとらわれ過ぎないことが重要なのです。

1 件のコメント:

  1. 確かに。信頼というベースがあって初めて提案も聞いてもらえるんだよね。データだけ集めて実現しなかったら価値を作れないもんね。自分もそこのバランスを上手く取れるようにならないと・・・。改めて勉強になりました

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